日本の大学院・大学(短期大学・専門学校は対象外)を修了・卒業した学生の「日本国内での就職」を後押しするため、従来は大学等での「専攻」と「業務内容」との関連性・業務量などの問題から就職できる「職種」が限定される傾向にありましたが、2019年5月からその運用が大幅に変更されました。
「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務(A)」を含む「幅広い業務(B)」
(A) 単に雇用主等からの作業指示を理解し、自らの作業を行うだけの受動的な業務では足りず、いわゆる「翻訳・通訳」の要素のある業務や、自ら第三者へ働きかける際に必要となる日本語能力が求められ、他者との双方向のコミュニケーションを要する業務。
(B) 日本の大学または大学院において修得した広い知識および応用的能力等を活用する業務(従事しようとする業務内容に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の対象となる学術上の素養等を背景とする一定水準以上の業務が含まれていること、または、今後当該業務に従事することが見込まれること)。
※従来は職務内容の一部に翻訳・通訳業務が含まれる場合(サービス業・製造業等)でも、業務量の問題から小規模事業者では就労ビザを取得することが困難でしたが、日本語能力を生かした業務(日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務)が職務内容に含まれていれば、「一般的なサービス業務や製造業務が主な活動」でも、本在留資格を取得し日本で就労することが可能になりました(業務上、業務独占資格が必要なものまたは風俗関係業務は対象外)。
但し、日本語能力を生かした業務が含まれない場合は、従来の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)を取得する必要があります。
【具体例】
(飲食店)
店舗で管理業務や外国人客に対する通訳を兼ねた接客業務を行う(それに併せて、日本人に対する接客業務を行うことを含む)。
※ 但し、厨房での皿洗いや清掃にのみ従事することは認められません(日本語能力を要しない単純労働のみ)。
(工場)
工場のラインで、日本人従業員から受けた作業指示を技能実習生や他の外国人従業員に対し外国語で伝達・指導しつつ、自らもラインに入って業務を行う。
※ 但し、ラインで指示された作業にのみ従事することは認められません(日本語能力を要しない単純労働のみ)。
(小売店)
仕入れや商品企画等と併せ、通訳を兼ねた外国人客に対する接客販売業務を行う(それに併せて、日本人に対する接客販売業務を行うことを含む)。
※ 但し、商品の陳列や店舗の清掃にのみ従事することは認められません(日本語能力を要しない単純労働のみ)。
(ホテル・旅館)
翻訳業務を兼ねた外国語によるホームページの開設、更新作業を行うものや、外国人客への通訳(案内)、他の外国人従業員への指導を兼ねたベルスタッフやドアマンとして接客を行う(それに併せて、日本人に対する接客を行うことを含む)。
※ 但し、客室の清掃にのみ従事することは認められません(日本語能力を要しない単純労働のみ)。
(タクシー会社)
観光客(集客)のための企画・立案を行いつつ、自ら通訳を兼ねた観光案内を行うタクシードライバーとして活動する(それに併せて、通常のタクシードライバーとして乗務することを含む)。
※ 但し、車両の整備や清掃のみに従事することは認められません(日本語能力を要しない単純労働のみ)。
※ 別途第二種運転免許が必要。
(介護施設)
外国人従業員や技能実習生への指導を行いながら、日本語を用いて介護業務に従事する。
※ 但し、施設内の清掃や衣服の洗濯のみに従事することは認められません(日本語能力を要しない単純労働のみ)。
(食品製造会社)
日本語を用いて商品の企画・開発を行いながら、自らも製造ラインに入って作業を行う。
※ 但し、製造ラインで指示された作業にのみ従事することは認められません(日本語能力を要しない単純労働のみ)。